神戸KICC「起業・創業支援セミナー」に登壇しました|外国人起業家として日本での1年間を共有

登壇中の写真(登壇者+会場の参加者が一部見えるものを推奨)

2026年9月13日、神戸国際コミュニティセンター(KICC)で開催された「起業・創業支援セミナー」に、桜星彩株式会社代表のDilapsky LIが外国人起業家として登壇しました。

当日は、外国人・留学生、共同起業に関心のある方、起業支援に携わる方など、50名を超える参加者が来場しました。制度や創業実務に関する情報提供に加え、外国人起業家による経験共有、質疑応答、ネットワーキングが行われ、さまざまな立場の参加者が交流する機会となりました。

桜星彩株式会社からは、「Starting a Company in Japan: What I Learned So Far」をテーマに、日本で会社を立ち上げてから約1年間に経験した試行錯誤、事業の方向転換、AIプロダクトの開発、そして研究と起業をどのようにつなげてきたかについて紹介しました。

「成功談」ではなく、現在進行形の起業経験を共有

今回の講演でお伝えしたかったのは、完成された「成功談」ではありません。日本で事業を進める中で、当初の仮説が間違っていたことに気づき、事業の方向性を何度も見直し、チームの変化や将来への不確実性にも直面してきました。

一方で、新しいプロダクトを開発し、研究活動を続け、大学・企業・地域の方々との出会いを通じて、少しずつ次の方向を見つけてきました。講演では、こうした過程を「まだ途中にある物語」として、できるだけ率直に共有しました。

AIエンジニアから「Entrepreneurial Scholar」へ

Dilapsky LIは、起業以前、中国・シンガポール・香港でAIエンジニアとして、自動運転やAI研究に携わってきました。その一方で、以前からキャリア開発や人の成長にも関心を持ち、次第に「AIをどう強くするか」だけではなく、「AIを使って、人の成長をどう支援できるか」という問いへ関心が移っていきました。

現在は、ビジネス上の課題を研究対象として捉え、試行と検証を繰り返す姿勢を表す言葉として、自身を「Entrepreneurial Scholar(起業学者)」と表現しています。起業を単に会社を成長させるための活動としてだけではなく、経営、人材、顧客、組織、学習について実践から理解する機会として位置づけています。

なぜ日本、そしてなぜ神戸だったのか

講演では、日本での起業を考え始めた時期から、神戸との関係が深まっていった経緯についても紹介しました。

香港にいた当時、福岡、大阪、横浜、東京、渋谷、神戸など複数の地域や起業支援機関へ問い合わせを行いました。その中で、神戸からは早い段階でオンライン面談の機会をいただき、制度を案内するだけではなく、実際に「何をしたいのか」を聞いてもらえたことが、その後の活動につながりました。

起業環境を考える際、制度や資金だけではなく、誰と出会い、誰と関係をつくれるかも非常に重要です。今回、神戸でこのような登壇機会をいただけたこと自体も、これまで地域の方々と積み重ねてきた関係の一つの結果だと考えています。

仮説を変えながら生まれたAI営業研修

桜星彩株式会社の事業も、最初から現在の形だったわけではありません。当初はキャリア支援や大学生向けのインターンシップ支援など、複数の可能性を検討してきました。

しかし、実際に学生や企業と対話する中で、「社会的に意味のある課題が、必ずしも持続可能なビジネスになるとは限らない」ということを学びました。課題に意味があるだけではなく、その解決策が継続できる仕組みも必要です。

その後、AI対話技術、企業における人材育成ニーズ、そして営業・営業研修の実務知識を組み合わせることで、現在取り組んでいるAI営業ロープレ研修へと事業が発展しました。

営業担当者が実際の顧客と話す前にAIとの対話を通じて練習し、失敗し、繰り返し挑戦できる環境をつくることで、マネージャーが毎回付き添わなくても継続的にトレーニングできる仕組みを目指しています。

ユーザーの声がプロダクトを変える

講演では、AI営業研修のユーザー体験が、実際のフィードバックによって変化してきた過程も紹介しました。初期版はテキスト中心のシンプルな画面でしたが、「画面に向かって話すのは不自然に感じる」という声を受け、2Dアバター、さらに3Dアバターへと改良してきました。

ところが、よりリアルな3Dアバターにしたことで、今度は「リアルになった分、緊張する」という新しい反応も生まれました。

Good training should feel safe—but not always comfortable.

安心して失敗できる環境は必要ですが、現実に近い練習には、一定の緊張感が含まれることもあります。

安心して失敗できる環境は必要ですが、現実に近い練習には、一定の緊張感が含まれることもあります。

この経験は、「リアリティを高めれば必ず良いトレーニングになる」という単純な問題ではなく、心理的安全性と実践的な負荷をどのように設計するかという、新しい研究・開発上の問いにつながっています。

ソフトウェア開発から、研究へ

生成AIによってソフトウェアをつくるスピードが大きく上がる中で、講演では「長期的な競争力はどこから生まれるのか」という問いについてもお話ししました。

インターフェースや機能だけであれば、今後ますます再現が容易になります。そこで桜星彩株式会社では、プロダクトそのものだけではなく、人がどのように学び、能力を伸ばし、その変化をどのように評価するかという研究課題を重視しています。

  • 学習者は次に何を練習すべきなのか
  • AIとの対話によって、本当に能力は向上したのか
  • 対話のパフォーマンスをどのように評価すべきか
  • 次のトレーニング内容をどのように推薦すべきか

こうした問いを、研究として検証すると同時に、実際の製品設計へ戻していくことが、現在の取り組みの中心の一つになっています。

困難を「次の研究課題」に変える

日本での起業の一年間が、常に順調だったわけではありません。事業モデルの難しさ、外国人起業家としての将来設計への不確実性、チームの変化、個人的なプレッシャーなど、複数の問題が重なり、会社の継続そのものに不安を感じた時期もありました。

しかし、その後、問題そのものを「失敗」として終わらせるのではなく、問いへ変える考え方が少しずつ生まれました。

Problem → Question → Learning

Failure can become the next research question.

課題を問いに変え、調査し、実験し、次の方向につなげる。この考え方は、現在の「起業学者」というスタンスにもつながっています。

人との関係が、想像以上に重要だった

今回の講演で特に強調したもう一つの点が、人との関係です。起業について語るとき、資金、技術、制度、ビジネスモデルに注目しがちですが、この一年間で事業を続ける上で大きな支えとなったのは、同僚、インターン、大学の先生、研究仲間、地域の支援機関、専門家、友人やメンターなど、多くの人との関係でした。

制度が活動の境界を決めることはあります。しかし、その境界の中でどこまで進めるかは、出会う人によって大きく変わることがあります。日本での起業を考える方には、制度上の障壁だけを見るのではなく、一緒に何かをつくろうとしてくれる人を探すことも大切にしてほしいとお伝えしました。

最後に伝えた「Career First」

講演の最後には、日本での起業を考えている外国人の方々に向けて、「Career First」という考え方を共有しました。

日本が好きだから、日本に残るために会社をつくる。その考え方自体を否定するものではありません。しかし、起業には大きな時間、資金、エネルギーが必要です。

Career → Entrepreneurship → Residence Path

「どうすれば日本に残れるか」から始めるのではなく、まず「これからの2年間で、自分のキャリアに何を加えたいのか」を考える。その上で、起業が自分の目指す方向に必要なのか、そしてどのような在留・事業の形がそれを支えるのかを考えるという順番です。

これからの2年間で、自分のキャリアに何を加えたいのか

50名を超える皆さまとともに

当日は50名を超える方々にご参加いただき、講演後のネットワーキングでも多くの方とお話しすることができました。

日本での起業を考えている方、すでに事業を始めている方、学生の方、外国人起業家を支援する方など、それぞれ異なる立場から多くのご意見や質問をいただきました。

桜星彩株式会社としても、今回の登壇を単発のイベントとして終わらせるのではなく、神戸・関西の地域コミュニティとの関係を深めながら、AI、人材育成、キャリア開発、そして研究をつなぐ取り組みを今後も続けてまいります。

ご参加いただいた皆さま、そして今回このような機会を設けてくださった神戸国際コミュニティセンター(KICC)をはじめ、関係者の皆さまに心より御礼申し上げます。

KICC ,50名を超える皆さまとともに
日本での起業を考えている方

桜星彩株式会社のAI人材育成・キャリア支援

桜星彩株式会社では、企業向けに、AIとの対話練習、会話記録、分析とフィードバックを組み合わせたAI営業ロープレ研修サービスを開発・提供しています。

また、大学・教育機関向けには、AIを活用したキャリアデザインや、学生の自己理解・進路選択を支援するキャリア支援サービスにも取り組んでいます。

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